太字の上に「BB」がある。万年筆の字幅は、ブランドごとに端が違う

万年筆の字幅は、極細・細字・中字・太字の4段階が基本になっている。ここまではどのブランドもほぼ同じだ。
面白いのは、その外側だ。基本の4つに収まらない字幅を、各社がそれぞれ勝手に足している。
セーラーの「ズーム」と「ミュージック」
セーラーにはズームという字幅がある。ペン先を寝かせるか立てるかで線の太さが大きく変わる、筆に近い書き味のペン先だ。
そしてミュージック。もともと楽譜を書くためのペン先で、縦線が太く横線が細く出る。
この2つは、セーラーにとって例外ではない。型番の中に専用の番号が割り当てられている。通常の品揃えの一部として扱われているということだ。
TACCIAにも同じ2つがある。TACCIAはセーラーからペン先の供給を受けているので、呼び方までそのまま揃っている。
パイロットの「中細」
パイロットにはFM(中細)がある。細字と中字の中間。
4段階では粗すぎる、という判断がここに出ている。日本語は画数が多いので、細字だと潰れ、中字だと太い、という場面が実際にある。
カヴェコの「BB」
カヴェコにはBB(極太)がある。太字のさらに上だ。
ヨーロッパのブランドは、もともと日本より線が太く出る傾向がある。その上にもう1段乗せているので、日本の中字に慣れた人が想像する太さとは、かなり違う。
モンテグラッパとオーパス88の「スタブ」
スタブは、ペン先の先端を平たく削ったもの。縦線と横線で太さが変わり、書いた線に抑揚が出る。
オーパス88にはさらにフレックス(しなるペン先)の極細・細字がある。筆圧で線幅が変わるペン先で、いまは作れるメーカーが限られている。
同じ「F」でも太さは同じではない
もうひとつ、知っておくと役に立つことがある。同じ記号でも、ブランドが違えば実際の線幅は違う。
一般に日本のブランドは細く、ヨーロッパのブランドは太く出るといわれる。日本の中字とヨーロッパの細字が近い、という言い方をされることもある。
PencilDBが持っているのは記号のほうで、実際に何ミリで出るかまでは記録していない。だから「日本のFとドイツのFのどちらが細いか」を、このデータから断言することはできない。
表記のゆれ
記号の書き方もブランドで違う。「F(細字)」のように英字とカナを併記するところと、「細字」とカナだけのところがある。探すときは両方で試したほうがいい。
(PencilDBに登録されている万年筆から集計。2026年8月時点)