275円から5,500円まで——クルトガは17年で20倍に広がった

芯が回る。書くたびに少しずつ回って、先が円錐に保たれる。2008年に三菱鉛筆が出したクルトガの仕組みは、それだけだ。
いま、その1本は7つの系統に分かれている。そして値段の幅は20倍になった。
1本の名前で、いちばん多くの選択肢を持つ
クルトガのスタンダードモデルには、155通りの選択肢がある。軸色とパッケージ違いを合わせた数だ。
これは登録されている2,464の製品名の中で最多。サラサクリップ(136)も、ユニボール ワン(117)もこれには届かない。日本の文具で、1つの名前がここまで枝分かれした例はほかにない。
275円から5,500円まで
系統ごとに並べると、広がり方がよく分かる。
- スタンダードモデル(2008年) — 275〜935円
- ローレットモデル(2010年) — 1,100円
- パイプスライドモデル(2015年) — 495円
- KSモデル(2023年) — 605〜825円
- ダイブ(2023年) — 5,500円
- メタル(2024年) — 2,750〜2,970円
- ウッド(2025年) — 3,850円
いちばん安い275円と、いちばん高い5,500円。同じ「クルトガ」という名前で、20倍。
2023年に、正反対の方向へ同時に広げた
面白いのは2023年だ。この年に2つ出ている。
KSモデルは605〜825円。学生が使う価格帯で、56通りの色がある。ダイブは5,500円。ノックせずにキャップを外すと芯が出る機構で、選択肢は4つだけ。
同じ年に、下と上へ同時に伸ばしている。片方は色数で広げ、もう片方は数を絞って値段を上げる。
素材で上を作りにいっている
2024年にメタル(2,750〜2,970円)、2025年にウッド(3,850円)。
シャープペンシルで木軸3,850円というのは、文具売り場の感覚ではかなり高い。野原工芸の木のシャープペンシルが8,800円からなので、そこには届かないが、量産メーカーが木軸の価格帯に入ってきていることになる。
いっぽうで275円のものも作り続けている。下を捨てていない。
選択肢の数と、値段は逆に動く
系統ごとに「選択肢の数」と「値段」を並べると、はっきりした関係が出る。
- 安いほど選択肢が多い(スタンダード155、KS 56)
- 高いほど選択肢が少ない(ダイブ4、ウッド2)
色で選ばせる商品と、モノとして選ばせる商品。同じブランドの中で、売り方が2つに分かれている。
どれを選ぶか
- 色で選びたい → スタンダードモデル。155通りあり、いちばん安い
- 持ち歩いて壊したくない → パイプスライドモデル(495円)。先端が引っ込む
- 書き味と質感 → メタル、ウッド、ダイブ
芯が回るという仕組みは、どれも同じ。変わるのは軸のほうだ。
(定価は税込、2026年8月時点。発売年はPencilDBに登録されているもの)